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「今はどう?これからどうする?」

「今はどう?これからどうする?」展示作品リスト

モーガン・クエインタンスは、オンラインでの滞在制作期間中、道内にお住まいの方を中心に、コロナ禍で人々がどんな日常生活を送っているのか、また、ポストコロナでどのようなことをしたいと考えているのか、写真やモノなどの素材を提供いただきました。提供していただいた素材と、自らの素材を組み合わせ、500m美術館の展示空間で作品を展開しています。

展示作品横の番号と照らし合わせてご覧ください。


ガラスケース右側

堀 楓香

プルオーバー、野球帽、トートバック
クジラの絵はPCを使って書きました。クジラと虹というモチーフですが、今コロナでみな暗い気持ちなので、なにか明るくなるものがほしいと思ったのです。
ペイントというソフトを使ってはみ出た部分を地味に消している動画もあります。

夏のドレス
首の後などで結わえるような形のもので、とても着やすいです。沖縄で買いました。

映像
モーガンさんの映像作品は〈日常〉にフォーカスしているところがあり、私が大切にしている部分とマッチしました。これも大切なご縁だと思っています。

今回のテーマはコロナのパンデミックで影響したことです。
今まで通り生活ができなくなった人が多いと思います。

提供した映像は、私の何気ない日常をただ撮ったものです。コロナ前に撮ってあったものと、最近撮った動画で、ふうかの日常がただ流れております😆
ボウリング、近所の散歩、洋服づくり、神社参り、味噌作り、カクテルづくりなどの風景です。

車椅子で移動しながら、胸元にiPhoneを置いて撮影しているので、自分で画面を確認しながらではなく、「だいたいこんな場面が映るだろう」というあたりをつけて撮影しています。撮影している様子が目立たないので、周りの人からはほとんど気づかれません。低い位置から他の人を見ているので、人々の人間関係などいろいろなものが観察できます。

雪道を進む映像は、大学までの通学時に撮影しました。路面の状態も悪く、道の端には雪が積まれて除雪もされずに山になっているので、視界も悪いです。荷物は車椅子後部に引っ掛けているので、バランスを崩して転びそうになって怖いです。


ガラスケース中央

01

匿名


パンデミックのせいか、たまたまなのか、仕事が少し落ち着いて時間ができた。

昔から好きだった裁縫を再び始めるべく、ハイスペックなミシンを購入。自分の服や子どもの服を縫うことはもちろん、刺繍機能がついていて、それにハマる。データを入れて、ボタンを押せば勝手にスタートし、みるみるうちに凝った刺繍が完成する。高速で見事な刺繍が出来上がっていく様子を見ると、「おー!!」と感嘆の独り言が自然と出てくる。しかし、自動と言っても物理的な部分は人間が整えねばならない。布に補強をして枠にピンと張り、糸が一定のテンション内で動けるようにする必要がある。適切な下糸、上糸を選び、適切にセットする必要もある。これがなかなか難しく、幾度も練習。

そして多くの人と同様に、植物の世話に精を出す。仕事で購入し、そのまま事務所で引き取った植物たちを一回り大きな鉢に植え替えたり、株分けしたり。今まで枯らしたことしかない自分だったが、時間をかければ結果が出る。冬を前にした今、彼らはモリモリ大きくなっている。大きな鉢を、水やりのために外に出しては中に入れている私の姿を見た同僚が「観葉植物だがもはや観葉ではなく、大きくしてるだけ」と皮肉られる。そうかも知れない。

そうこうしているうちに、今度はパンデミックが落ち着いてきて仕事が忙しくなってきた。
埃を被り始めたミシンと、いまだに大きくなり続けている植物を横目に見ながら、今日もキーボードを叩きまくっている。

02

スザンネ・クリーン

パンデミックの期間中、何度か大陸や国を行き来した私は、世界各地でパンデミックへの対応の違いを目の当たりにしました。日本ではドラッグストアや薬局で販売されているマスクは普通の紙製のものでしたが、私の国オーストリアではFFP2(N95に相当)が最低基準となっています。日本は他国に比べて予防接種の開始が極端に遅く、接種はなかなかできませんでした(2021年夏時点では)。その頃には、オーストリアではほとんどの人が接種を終えており、事前予約がなくても無料で接種を受けられるバスがウィーンの中心街を回り始めていました。オーストリアでは余剰があるくらいなのに、オリンピックの主催国である日本では、状況は真逆でした。

もう一つの大きな違いは、日本では一般市民が利用できる検査が全くないことです。オーストリアでは、自宅でPCR検査を行い、近くのスーパーやドラッグストアにサンプルを置いて、24時間以内にEメールで結果を得ることができる無料のPCR検査があります。日本では、検査は高価であり、日常生活の中で予防のために使われることはほとんどありません。2021年後半にはワクチン接種率が80%以上に達しましたが、日本政府の戦略はワクチン接種だけのようです。外食したり、プールやフィットネスクラブなどの施設を利用する際には、チェックは行われません。日本は予防接種パスポートの発行を開始しましたが、他のG7諸国のようなデジタルではなく紙媒体でしか入手できず、日本では全く役に立たない。オーストリアでは、この重要な書類がないと外食や飛行機に乗ることなどができません。

パンデミックを管理するさまざまなシステムが合理化されない限り、私たちはその膨大な影響に対処しなければなりません。これまで日本では、仕事や個人の移動が極端に制限されており、海外への出張は許されず、緊急事態の間は国内でも制限されていました。

ほとんどの留学生は、数ヶ月前に大学のプログラムに合格し、ワクチンを接種していたにもかかわらず、日本に入国することができませんでした。私は、パンデミック対策が包括的に行われ、豊かな国が後進国にも必要な施設や設備を同じように利用できるようにし、外国から来る人たちを民族主義的に排他するのではなく、互恵主義の原則に基づいて受け入れられるような世界になることを願っています。

03

柴田尚

自転車 Tokyo Bike

コロナ禍で、スポーツジムに行くのを止めたので、運動不足解消として、20年ぶりくらいに買った。

04

干場良光

札幌での生活から地元(奥尻島)にUターンを決めて程なく、コロナ禍が始まりました。偶然の決断だったのですが、密になりにくい田舎に戻ることになって運がよかったなァと思っていたら、人口3,000人のうち、50人くらいが感染しビビりました。戻って1年半ほど経ちますが、半分観光客のような気分で馴染みの通りや海岸を散策し、その間にスマホで撮った風景やオブジェクト、それらのフォトコラージュ、動画、浜辺に寄り付いた数々の残片、それらの実物も使って組み合わせた作品です。

05

匿名

コロナ禍に子どもが生まれた。

緊急事態宣言の影響で、生まれる前後15分しか面会できず、会えるまで1週間待った。いくつになっても、大変な時期に生まれた子だと言われるだろう。

大きな問題もなく、生後5ヶ月になった。

子が身の回りの全てを全力で知覚している姿から、目が離せない。子をたくさん笑わせようと工夫をするのが私の新しい日課。

今はチラシをくしゃくしゃと触り音を出すのが楽しいようだ。

06

山崎理生

コロナ禍での日常生活で、密を避け野外へスケッチに出かけました。札幌市内の大学の敷地にある小さな滝を見つけました。人懐っこいカラスはソーシャル・デスタンスを知りません。すぐそばまで絵を覗きに来ます。今、人間界で何か異変が起きているのを感じているのかわかりません。

07

藤森功子

私の職場のコロナ終息見え始めた最近の様子を納めた写真です。

終息しつつも、施設のバリヤは、まだこうして変わらない状況です。

入居者様達は、コロナの影響受け健康的身体が崩れて来ている現状です。認知が進み身体の機能が落ち…。スッキリとした晴れ間が見られる日がまちどうしい毎日です。

08

川上りえ

鉄が辿る旅

私は鉄と生命との関わりに注目しているアーティストである。人為的に作られる鋼材によって、人類の文明は大きく進歩してきた。しかし、本来の鉄は原子の単位で、地球の中核を成し、生命体の体内においても必須の存在と言える。

パンデミック発祥以来、気持ちをリフレッシュするために、家から車で20分ほどドライブしたところにある海の水平線を見に行く機会が増えた。この夏、その海の浜で黒々と広がっている砂を発見した。砂鉄である。砂鉄はマグマの噴火などで地表に放出された磁鉄鉱が風や川の流れにのって砕かれ、移動して浜に打ち寄せられて堆積したものである。手に取る砂鉄は海の砂と同じように粒度が整っていてきめ細かく、しかも深い黒で美しい。地球内部から火山噴火によって表層にもたらされた磁鉄鉱が、このように粉砕されてキメの整った砂鉄になるまでの行程を辿りたくなった。

COVID-19のようなウイルスは、人や空気を伝って移動していく。視認することができない事象の循環について、意識するようになった。砂鉄を手掛かりとするこのプロジェクトは、そのような観点から、大地を巡る生命の循環を可視化出来るのではと思う。

09

匿名

コロナにより外食に行くことが難しくなりました。これは、料理をテイクアウトして、自宅で両親の誕生日祝いをした時の写真です。

今まで本を全く読まない私でしたが、自粛生活中に読書にハマりました。これらは、自粛期間中に購入した本の一部です。

私は今まで視力に自信がありました。しかし、オンライン授業が始まりパソコンを使う機会が増え、明らかに視力が落ちたように感じました。これ以上目が悪くならないように、ブルーライトカットメガネを購入しました。

10

佐瀬佑香

10月の20歳の誕生日に母がくれた時計と手紙です。見慣れた安心する文字の手紙、普段は誕生日に母からプレゼントを貰わないのに、ハタチだからくれた時計、母の偉大さを感じました。愛が詰まっている贈り物でとても嬉しかったものです。

去年自粛期間に買った本です。おうち時間が増えたので読書をしようと思い買ったのですが、買って満足して実際はNetflixで韓国ドラマを見たり、お菓子作りをして過ごしました。なのでまだ読んでいない本、途中までしか読んでいない本ばかりです。最近になってやっと少しずつ読み進めています。全て大好きな北川景子さんに関連する本です。

今年の夏の写真です。最近はスマホで写真を撮ってデータとしてはあるけど、物として手元に残すことはないなと思い、写ルンですを買い、現像しました。慣れていないのでほぼ真っ暗な写真も何枚かあります。他の人が見たら何かわからなくても私があの場面だなと思い出せるので、これでもいいなと満足しています。

11

毛利迅

喫茶店巡りにハマった写真           

YouTubeを始めたという歴史的一枚          

中華料理にハマったという一枚 

12

山田千尋

ヘアピンとヘアゴム 黒いヘアゴムとアメリカヘアピン。コロナ流行で美容室に行かなくなり、髪の毛が伸びた。その髪を縛るために買ったもの。髪が黒いので目立ちにくいよう黒色にした。

保温・保冷ができる魔法瓶のコップ。色はネイビー。寒い時期、家にいる時間が長くなったので温かい飲み物を楽しもうと買ったもの。紅茶とココアを飲んだ。       

PCスタンド アルミ製。大学入学前に全ての授業がオンラインになると聞いて買った。視線が前に向くので、肩こりが少し減った。底にシリコンが付いていてズレにくい。     

13

小川季莉

たくさん勉強しようと思って買ったノート。まだ一冊目、、、

14

フルサワミヤ

家に居る時間が多くなったので着付けの練習をしようと思い、祖母から譲ってもらった帯。


コロナでマスクが買えなくなったことでマスクを使い捨てできなくなったので、繰り返し使えるように作った。


家にいる時間が増えたのでピアノの練習をするために印刷した楽譜。

15

伊藤隆介

半戒厳令の期間中、私の生活は決して悪いものではありませんでした。スタジオで古い映画、特に1950年代、60年代の映画を見て過ごすことが多かった。

私が生まれる直前の年に小津監督の最後の作品が作られていたのですが(私が生まれた年の年末に小津監督は亡くなりました)、私の年齢が当時の小津監督やその作品に登場する人物に非常に近くなってきたことで、今まで見逃していた多くのことを知ることができました。スタイル、マナー、動きやテンポ、話し方や反応の仕方など、長い間見ていなかったものがたくさんあります。

毎日、祖父や父の世代の過去と会話しているような気がしました。彼らは戦争から立ち直るために、多くのことを忘れ、特にアジアの歴史に悔いを残してきました。いや、今でも忘れているふりをしているというべきか。

だから、私のCOVID期間は、未来への不安よりも過去への「時の鐘」のようなものだったのです。

16

藤田愛弓

自転車の写真

北海道に引っ越してすぐに買った自転車です。 これまで、この自転車で学校はもちろん、栗沢、長沼、そして札幌と様々な場所を訪れました。

青いエプロンの写真

1年生の春休みにパン屋さんでアルバイトを始めました。写真はパン屋さんの制服です。

カメラの写真

今年の5月に買った中古の一眼レフです。北海道の美しい風景を撮りたいと思い購入しました。

17

けい

北海道に来て、車を祖父からもらいました。

コロナで家にいて暇だからゲーミングPCを買いました。

コロナのおかげで全国大会に出場できた時に大阪で人気のカフェに行きました。人が多かったのでテイクアウトしました。

18

Soichiro Nakashima

今はなき航空会社JASの航空機模型MD-87。幼少期、地元の一日に羽田に3往復しかフライトがない小さな空港に就航していた機体でよく見に連れて言ってもらっていた。模型はこれまであまり出回っていなかった。コロナ禍に発売され購入。飛行機オタクなので早く飛行機に乗りまくって旅行したいという思い。

母の誕生日プレゼントとして実家に送ったホテル・ザッハーのザッハトルテ。5月頃に世界各地送料無料キャンペーンにより1ヶ月ほど待って到着。私が最近実家に少し帰れた際に、一緒に食べようと残して置いてくれたものを切る光景。

テニスのラケット。コロナ禍に入学してから始めたテニス。大学の運動部でサークルレベルでなくバリバリやっている。最初は一人でずっと打ちまくっていた。最近またガットが切れた。コロナが落ち着いてくるに連れて、自分がずっとやりたかったことも徐々にできそうになってきている。テニスへの気持ちは…。

19

徳田日織

ピンクのギターは元から家にあったギターで、コロナで家にいることが増えてからよく使うようになりました。 それから、本格的にギターを始めようと茶色のギターを買い、家で弾くようになりました。 そのうち、犬が聴きに来るようになり、いつも聴いてもらっています。

20

住田夏見

パソコンに向き合うことが多くなったコロナ渦の日常、家の外に出られなくなることで、どの国にいてもどこにいても同じに感じることもあり、自分にとって自由でいるとは何なんなのだろうと考えたことが表れていると思います。

21

萩谷海

猫との冬遊び用にカラスの換羽期に羽根を集めた。10分公園を歩いて22枚を収穫。熱湯消毒したあと日干しした。他のおもちゃ用の羽根と一緒に保管してあるが、ある日近所の子どもたちが羽ペンを作りたいと言ってきたので青いインクと一緒に提供した。



ガラスケース左側

モーガン・クエインタンス

2020年の初めての都市封鎖の時には、私と当時のパートナーは、ロンドン市内でも一番高い場所にある団地の、最上階の小さなアパートに住んでいました。私は、この団地やバルコニーからの景色をかなりの時間撮影しました。朝と夕方は、光がとても青くなっていました。この間、私たちは別居することとなり、最終的には一緒に住んでいたアパートから出て行きました。

2020年の後半には、パンデミック後にやりたいことのために、ネットで服を買うようになりました。買ったものはどれもカラフルで楽しいものが多かったです。まだ社会的距離を保たなければいけない状況なので、展示されている服は未だに着る機会がありません。

モスキーノのジーンズの下に写っているのは、ロンドンにあるLUXという組織のビデオ編集施設です。私の映像作品を配給している団体です。2020年末に、再び施設を利用することができ、VHSテープをデジタルファイルに変換する作業を行いました。


アーティストについて

モーガン・クエインタンス

ロンドンを拠点にアーティストとライターとして活動する。

2020年の映像作品出品・受賞歴
クエインタンスの映像作品は、ヴィラ・ド・コンデ国際短編映画祭(ポルトガル)、 コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭(デンマーク)では賞を受賞、その他、オーバーハウゼン映画祭(ドイツ)、ヨーロピアン・メディアアートフェスティバル(ドイツ)、アルケミー・フィルム&アーツ映画祭(スコットランド)、イメージ・フェスティバル(カナダ)、ロッテルダム国際映画祭(オランダ)、プント・デ・ヴィスタ映画祭(スペイン)、サード・ホライズン映画祭(アメリカ)などで作品が発表されている。

また批評家としては、70年代に創刊した現代アートの雑誌Art Monthly誌、The Wire誌、The Guardian紙において、現代アートや美学、またそれにまつわる社会政治学的文脈についての記事を寄稿し、イギリスのアート界における議論や対話を形づくるような批評を発表している。

Website: https://morganquaintance.com


展覧会 開催概要
500m美術館vol36 「せんと、らせんと」6人のアーティスト、4人のキュレーター展
会期 2021年12月11日(土)〜2022年2月2日(水)7:30-22:00
会場 札幌大通地下ギャラリー500m美術館
住所 札幌市中央区大通西1丁目〜大通東2丁目
(地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース内)

令和3年度 S-AIR エクスチェンジプログラム2021
[主催] 特定非営利活動法人S-AIR
[助成] 令和3年度 文化庁 アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業 公益財団法人 小笠原敏晶記念財団
[協力] 札幌市(札幌大通地下ギャラリー 500m美術館