多くのアーティストは古代の遺物や遺跡、土着の文化や歴史から着想してきました。考古学と現代アートは全く違うように思える分野ですが、プロセスや手法が重要な要素であることなど、大きな共通点もあります。
スコットランド本土の北方に位置するオークニー諸島を拠点に「現代アートと考古学」の修士課程を立ち上げた考古学者のアントニア・トーマスさん、そして福島県に芸術家が集まり滞在制作を行うプログラム「ハマカルアート・プロジェクト」の参加プログラム「ともに見る見えないチカラ」を実施した「アートと考古学国際交流研究会」の代表であるアーティストの安芸早穂子さん、同研究会のメンバーで考古学者の吉田泰幸さん、アーティストの伊藤隆介さんをお招きし、イギリスや日本の事例を交え「考古学と現代美術」に焦点を当てたトーク・イベントを開催します。
縄文時代と重なる新石器時代の遺跡が多く残る、ユーラシア大陸の西端にあるイギリスのオークニー諸島。先史時代の遺跡が点在し、独特の歴史や環境を持つオークニー諸島には、研究者やアーティストなど多様な分野の人たちが集まり活動をしています。先史時代の視覚文化の解釈から、現代アートの実践と考古学的想像力の交差まで、広い意味でのアートと考古学の関係を探求するアントニアさんには、広く「現代アートと考古学」の概念やオークニー諸島における取り組みについてお話しいただきます。
安芸早穂子さんは、これまで国内外で多くの考古学者とアーティストが協働するプロジェクトを実施され、今回は「ハマカルアート・プロジェクト」参加企画として、2023年に考古学者の吉田さんとアーティストの伊藤さんと共に南相馬市で実施したプログラムを中心にお話を伺います。
是非お誘いあわせの上、お気軽にご参加ください。
「クロスセクション – 現代アートと考古学」トークセッション
ゲスト講師
アントニア・トーマス(考古学者、ハイランズ・アイランズ大学)
安芸早穂子(アーティスト)※オンライン出演
吉田泰幸(考古学者)※オンライン出演
伊藤隆介(アーティスト)
会期 9月25日(水)19:00-21:00
会場 なえぼのアートスタジオ(札幌市中央区北2条東15丁目26−28)
ハイブリッド開催 ※予約の際に対面かオンラインかを選択してください
参加費 トークは無料(トーク後の懇親会は千円のカンパをお願いします。差し入れ大歓迎!)
お問合わせ info@s-air.org
ゲスト講師・プロフィール
アントニア・トーマス
考古学者。ハイランズ・アイランズ大学(UHI)オークニー・カレッジを拠点に、〈現代美術と考古学〉修士課程コースのプログラム・リーダーおよび考古学の講師を務める。研究では、先史時代の視覚文化の解釈から、現代アートの実践と考古学的想像力の交差まで、広い意味でのアートと考古学の関係を探求。専門は遺産と考古学で、コミュニティ形成と遺産を主軸とした再生、博物館での展示企画、商業考古学調査、高等教育での指導など、幅広い経歴を持つ。考古学をいかに創造的に関与させるかことができるかを研究や活動の軸とする。
Antonia Thomas, UHI | Spotlight on research: art & archaeology | Art/Archaeology: Exploring Disciplinary Edges”, Dr Antonia Thomas, The Edge UHI | Art and architecture in Neolithic Orkney
安芸早穂子
縄文時代など古代の暮らしや景観を考古研究者、環境史研究者らとイメージ画に復元する専門家。研究成果を一般に伝えるメディアとして各地の遺跡、博物館などで文化遺産をユニークに体感するアート×考古学協働プロジェクトをプロデュース。
東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。京都市立芸術大学日本画科卒。
Art &Archaeology Practice Japan | 安芸早穂子HP(考古学復元イメージ) | Art & Archaeologyプロジェクト)| ハマカルアート・プロジェクトHP
吉田泰幸
考古学的想像力の追求と考古学シーンの俯瞰をカチカチからノビノビまで、多方面に行いたい考古学者。
カチカチ方面の例: 「考古学・人類学の関係史と『土偶を読む』」(『土偶を読むを読む』ー2023年、文学通信ー所収)
ノビノビ方面の例: フリーペーパー『縄文ZINE』に「未来考古学」(望月昭秀・安芸早穂子と共著)連載中(Vol.7〜)
伊藤隆介
映像作家・美術作家。映像メディアの物質的な特性をテーマに、映画フィルムを産業的廃材としてコラージュ・モンタージュする実験映画のシリーズ、ミニチュア・セットと撮影映像を並置、比較するビデオ・インスタレーション”Realistic Virturality”シリーズ、近年は映像とその支持体を雑貨や家具と組み合わせる立体作品などを制作している。近年の発表は、個展「Domestic Affairs」(2020年、児玉画廊|天王洲/東京)、「天神洋画劇場」(2016年、三菱地所アルティアム/福岡)など。
特定非営利活動法人S-AIR(エスエア)
NPO法人S-AIRは、1999年度より文化庁などの補助金を受けて北海道でアーティスト・イン・レジデンス(AIR)事業を開始し、2005年にNPO法人化。現在まで25年間に37カ国103名の招へい、14カ国21組の派遣による滞在制作を実施し、国内外のアートセンターやアーティストとのネットワークを形成している。またAIR以外にも、アサヒビール芸術文化財団による委託事業「アサヒロビーコンサート」(2003-2008)、冬のモエレ沼公園を舞台にした「SNOWSCAPEMOERE」(2005-2011)、「北海道アートマップ」(2012)事務局担当、「ウイマム文化芸術プロジェクト」事務局担当(2016-2018)など様々な文化事業をおこなっている。2008年度 国際交流基金地球市民賞受賞。2016年度、代表の柴田が北海道文化奨励賞受賞。
「クロスセクション: アートと考古学」
主催 NPO法人S-AIR(エスエア)
協力 なえぼのアートスタジオ、さっぽろ天神山アートスタジオ
助成 グレイトブリテン・ササカワ財団